壁の飾りをかえました。
安倍律子「愛のきずな」昭和45年8月作曲:鈴木淳、作詞:加茂亮二
ちあきさん「四つのお願い」に続きこの曲も鈴木淳先生作曲。昔の歌謡曲が大人むけのものであった典型的な作品です。安倍律子21歳にしてこの歌唱、ものすごい貫禄です。唸るようなハスキーボイスにビブラート、そして1コーラス終わり部分には音符無視ともいえるほど長く引っ張る。これはかなり印象付けられます。この曲でデビューし(キングレコード)、セクシーアイドル的な売り出し方もあり人気が出て、いきなり同年末の日本レコード大賞新人賞を獲得しました。
同じ頃、鈴木淳先生は、ちあきなおみ初期作品も担当していました(1枚目「雨に濡れた慕情」44年6月~8枚目私という女46年6月)。ちあきさんも同じくセクシー系で売り出していたのです(コロムビア)。あとは小川知子さんにも43年2月~45年4月にかけて楽曲提供されています(東芝)。小川さんはカワイイ系で売っていました。鈴木淳先生は、この時代のアイドル・ポップ育成に多大な貢献をされています。そしてレコード会社に注目ください、すでに作家専属制度はなくなり、フリーランス作曲家の時代になっているのです。
さて先生の作風はというと、ジャズやポップスが背景にありつつ、感傷的な和風メロディを混ぜるという感じです。つまりちょうどこの時期に流行り始めた「演歌」調を取り入れるのが特徴だと思います。本作品はイントロからAメロが演歌調、しかしBメロに入るとベースとドラムが暴れビート・ポップになる、非常にカッコいいフレーズがあるのです、そしてまたCメロ演歌に戻るという構成です。コードもツー・ファイブ(II→V→I)進行が盛り込まれてたりしてポップス性があるのです。この融合ぶりを味わうのも歌謡曲鑑賞の楽しみです。
皆様、ぜひ一度この鈴木淳作品をお聴きくださいませ。(2024.10.16院長)
さてわざわざ鈴木淳とフルネームで書いているのは、この時代の歌謡曲界には、鈴木姓の作曲家が何人もいらっしゃるからなのです。鈴木邦彦(GS・ポップス系:ゴールデンカップス、ジャガーズ、シャープホークス、ダイナマイツ、黛ジュン、西城秀樹、森田健作など)、鈴木道明(ジャズ・ラテン系:西田佐知子 赤坂の夜は更けて、女の意地、日野てる子ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョーなど)、鈴木庸一(ビッグバンドジャズ、ラテン系:渡辺マリ 東京ドドンパ娘、青江三奈 伊勢佐木町ブルースなど)
←前の記事 「花組 エンジェリックライ/ジュビリー」|次の記事→「八代亜紀 なみだ恋」 |最新ブログ