壁の飾りをかえました。ここしばらくGSがつづきます。
ザ・タイガース「シー・シー・シー」昭和43年(1968)7月作詞:安井かずみ・作曲:加瀬邦彦
タイガース6枚目のシングルです、50万枚も売れたそうです。タイガースはデビューから橋本淳・すぎやまこういちコンビの作品で、王子様キャラクター、ロマンチック世界観、哀愁メロディー、ストリングスで盛り付けた曲が多いです(1)。また当時のファン層もそれを期待していたのでしょう。渡辺プロダクションが需要に応じて売り出すという、商業戦略の一環でもあるのです。
一方、ロックバンドのビート系作品としては2枚目「シーサイドバウンド」と6枚目本作「シーシーシー」ですね。本作は作詞作曲がかわり、安井・加瀬(2)コンビで新しい風を取り入れようということなのでしょう。
1964-66年頃流行したマージビート、ブリティッシュビートを思わせるノリの良い曲です。ジュリーとメンバーのコール&レスポンス(歌の掛け合い)が英国風。サリー(岸部おさみ(岸部一徳))のベースもビートがあふれています。ついでに言うとサリーは声も低音が魅力。そしてギター(加橋かつみ)が初期ローリングストーンズの音色みたいなんですよ。ライブバンドであったタイガースの一面が伺える作品です。
なおこのあと昭和44年(69年)グループから加橋が脱退し、また時代の流れから、作風がニューロックの方向へ進むことになります。
皆様、ロマンチックだけではないGS、日本のロックの基であったGS、機会がありましたらぜひお聴きください。 (2024.3.6 院長)
(1)1st「僕のマリー」(1967年2月)歌謡系 作詞:橋本、作曲:すぎやまB面「こっちを向いて」50'sサウンド
2nd「シーサイド・バウンド」(67年5月) ビート系 橋本&すぎやま B面「星のプリンス」60'sアメリカン、スペクターサウンド的
3rd「モナリザの微笑」(67年8月)歌謡系 橋本&すぎやま B面「真っ赤なジャケット」マージービート系
4th「君だけに愛を」(68年1月)ビート+歌謡 橋本&すぎやま B面「落葉の物語 」ロマンチック系
5th「花の首飾り/銀河のロマンス」(68年3月) 歌謡系 橋本&すぎやま 両A面
6th「シー・シー・シー」(68年7月)ビート系 作詞:安井、作曲:加瀬 B面「白夜の騎士」メルヘン王子様系
(2)ワイルドワンズの加瀬邦彦さん、深夜まで飲んで早朝4時に帰宅すると、事務所から電話が鳴り「今から9時までに曲を作ってくれ」と頼まれたそうです。無茶ぶりですが、5時間で作りあげた曲なのに名曲だと思います。加瀬さんスゴイ! なお安井&加瀬コンビは70年代ジュリーのソロ活動で名作を多く残します。