壁の飾りをかえました。ベンチャーズ「ダイアモンド・ヘッド」1964年
暑い!それにしても毎日暑すぎます。こんなときはエレキ・サーフィン音楽に限ります。ベンチャーズのレコードを聴いて涼をとっています(1)。
1曲目「ダイアモンド・ヘッド」、針を落とした瞬間イントロからモズライト・ギターの低音弦がリヴァーブをピュンピュン鳴らして迫ってきます。そしてアタックの強さと粘り気ある弦音がメロディ開始4小節でぐっと惹きつけます。真空管アンプの自然な歪み音、もう最高にカッコイイですね。モズライトギターのサウンドは太くクリーンな音、そして粘り気が特徴なのです。その秘密の一つとして、ピックアップコイルの巻き数が多く、出力が大きいからだそうです。フェンダーのキラキラ音と対照的です。
ベンチャーズは1965年来日の際に人気が爆発し、日本中の中高生”男子”がエレキ(エレキギター)に興味をもつ社会現象まで引き起こしました。翌66年にビートルズが来日し、その時は主に”女子”がビートルズに熱狂したと言います。男子はベンチャーズのギターサウンドに惹かれ、女子は歌とコーラスのあるビートルズ、と男女差があるのが興味深いです(2)。確かにベンチャーズの外見は女子向きじゃないですね、髪型は旧来のリーゼント、体形はマッチョ。サウンドはギターテクニック主体でソリッドギター(3)。ビートルズは長髪オカッパ、スリムなモッズスーツ、初期作品はラブソング率高い、コーラスワーク中心、ギターサウンドはセミアコやアコースティックで和音とアレンジ中心、で女子向き。と60年代はこういうことが起こっていたわけです。
何十年も経って顧みるとベンチャーズはテクニック、ギターサウンド、が突出していて、加えて日本的音階(ペンタトニック)、既存曲のアレンジが巧妙で一見簡単そう=覚えやすい=わかりやすい、という点が日本で受けた理由だと思います。まあ実は簡単そうなメロディを何コーラスも聴かせ続けるノーキー・エドワーズの確かなテクニックがあってこそなんですけどね(4)。
このLPは1983年発売のベスト盤です(5)。ほかにも「10番街の殺人」「パイプライン」「Walk don't run 64」など名曲がたくさん入っています。
皆様、機会がありましたらベンチャーズをお聴きになって暑さを吹き飛ばしてください。またくれぐれも御身体には十分お気をつけください。 (2022.7.6院長)
(1)夏になるとベンチャーズが来日し新聞・雑誌の広告で「夏だ!エレキだ!ベンチャーズ!」を見かけたものです。夏の風物詩です、季語に入れてほしいところです。
(2)この時代のベンチャーズコンサートは見事に男の客ばかりだったそうです。
(3)これ、80年代にもよく似た現象があって、この時代男子にはハードロック、ヘビメタのギターが流行していました。昔も今も男子はギターテクニックに憧れるものなのか?2020年代はどうなのでしょうか?
(4)試しに自分で弾くと楽譜通りに弾けても全く味気ない音しか出せないのです。
(5)64年発売のオリジナル盤"Surfin'"とは違うものです。ベンチャーズのアルバムはサーフィンが名前に入ってるのが数種類あって混乱します。
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