壁の飾りをかえました。
園まり「逢いたくて逢いたくて」昭和41年 西野カナとちがいますよ。
作詞:岩谷時子 作曲:宮川泰 編曲:森岡賢一郎。
歌った園まりさんは当時の女性歌手としては珍しく「かわいらしさ」が売りでした。昭和40年代前半までは歌謡曲は大人のものでしたから、女性歌手は「大人らしさ」が求められ、「かわいい」はむしろ避けられていました。だからこの時代の女性歌手は今の感覚ですと見た目も歌う曲も実年齢より大人っぽいです。園まりさんのかわいい路線は新鮮だったのでしょう(1)、たいそう人気があったそうです。
作者は前回のピーナッツに引き続き岩谷・宮川コンビです。もともとザ・ピーナッツが歌った曲(2)を作りかえたリメイクです。岩谷時子さんが園まりにあうよう詞を書き換え、曲の方も森岡賢一郎さんが編曲し印象的なトランぺットをフィーチャーし、大ヒットになりました。ザ・ピーナッツでは当たらず、園まりでヒットした、というのは曲・詞・編曲そして歌手すべての相性が良かったからでしょう。発売日は昭和41年1月6日ですが、発売前昭和40年大晦日のNHK紅白で唄っています、プロモーションのために先行出場したのでしょうか、不思議です。
メロディーはゆったりしたノスタルジックなメロディ(3)、園まりの囁くような声がよく合うのです(4)。さてレコードで聴くと目の前でうたっているように聞こえるんですよ。これは日本ポリドールの録音技術によるところ大と思います。ポリドールはドイツ・グラモフォン社と関係が深かったのでドイツ製の高性能マイクロフォンなど録音機器が充実していたそうです(5)。この明瞭な音声はノイマンあるいはテレフンケンのコンデンサーマイクで録音したに違いないと院長は勝手に妄想しています。皆様ぜひ園まりさんの歌を再度お聴きになってください。2021/10/13(院長)
(1)アイドルは未成年のかわいい芸能人を若い世代をターゲットとして売り込むビジネスモデルのことで、昭和45年頃から生まれた概念です。
(2)「手編みの靴下」 昭和37年作詞:竹内伸光・岩谷時子 作曲編曲:宮川泰
(3)「港が見える丘」昭和22年 平野愛子 を参考に作曲したと言われます
(4)独自の甘く囁くような艶っぽい「園まり節」は宮川泰が1小節ごとに声の出し入れや言葉の徹底指導をしたという。馬飼野元宏 他「昭和歌謡ポップスアルバムガイド」シンコーミュージック 2015, p45
(5)特定ラジオマイク運用調整機構レポート No70 H15.1.1「私とマイクロフォン」 第5回 大野 進