GSからロックへの架け橋、モップス「朝まで待てない」

壁の飾りをかえました。あまりご存知ないかもしれぬGSばかりですみませんです。

ザ・モップス「朝まで待てない」昭和42年(1967)11月、作詞:阿久悠、作曲:村井邦彦

日本のポピュラー音楽史においてGSからロックの流れでザ・モップスは重要なんですよ。GSブームは王子様メルヘン系で売り出グループが多かったなか、モップスはロック寄りでした。ジャケット写真のメンバー服装もロックですねまあレコード会社や事務所の意向もあったようです。

さて本作は彼らのデビューシングルです。そして阿久悠さんの本格的作詞デビュー曲でもあるということで歌謡曲の歴史上重要です(1)。さらにモップスと言えば、鈴木ヒロミツのボーカルです。ちなみに皆さんが思い浮かべる鈴木ヒロミツさんは歌手ではなく俳優あるいはコメディアンの姿でしょう。僕も小さい頃はすっかりそう思っていました。そんなことはとにかく鈴木さんのボーカルがものすごい迫力、ロック歌手なんですよ(1)。ぜひお聴きください。彼は英国のアニマルズ(The Animals)のボーカル、エリック・バートン(2)にずいぶん思い入れがあったようで歌唱の雰囲気が似ています。

星勝さんのリードギターも当時流行のサイケデリック・サウンドを体現していて味わい深い。当時のアイドル系GSとは一線を特徴的なギターサウンドです。星さんはモップス解散後、音楽プロデュース・編曲家の道に進まれ、ヒット曲を数々手がけました(4)。ぜひwikiを御参照ください。前回も書きましたが、GSって後に大きな業績を残した人がたくさんいるのですよ。

モップスは69年に音楽性の違いから東芝に移籍します。GSブームが69-70年頃に下火になり数々のGSが解散する中、70年以降彼らはニューロックな作風にかわり、74年に解散するまで日本ロック黎明期の名作を残してゆきます。

皆様日本のロックの萌芽のひとつであるザ・モップスのサウンド、機会があればぜひお聴きください。なお、「朝まで待てない」は67年のオリジナル版のほか73年に自身が再録音したバージョンもあり、聴き比べしてください、73年版は当時のサウンドとは思えないくらいの迫力です。

(2024.5.1院長)

まきの内科クリニックは5月1日(水)~5月6日(月祝)お休みをいただきます。5月7日(火)より通常診療いたします。よろしくお願いいたします。

 

(1)阿久悠「昭和歌謡曲と日本人」河出書房新社 (2017)第五章

"ヒロミツさんとは縁があった。つまり、ぼくの、作詞家としての事実上のデビュー作ーB面になった物は除くーである「朝まで待てない」を歌ったザ・モップスのリードボーカルが、彼であったからである"

"その昔を知らない人のためにぼくは断言する。鈴木ヒロミツはロック歌手だったのだ。"

(2)まきの内科クリニックブログ アニマルズ「悲しき願い」

(3)星勝さんの解説、ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E5%8B%9D

 

カテゴリ 音楽

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